遺族に無断で出版されたその手記に、事件から18年後、被害者遺族は再び傷つけられ、出版社に回収を求めています。出版社側は、少年犯罪発生の背景を知るために役立つとの理由から、出版の継続の意向を示しています。この出版に関しては、「加害者が犯罪の手記で利益を得て良いのか」「表現の自由はある」「アメリカの『サムの息子法』のような、(収益が加害者に直接入らない仕組みを作る事によって出版を規制している法律)が必要ではないか」等、議論を呼んでいます。
今朝、常磐大学大学院教授・諸澤英道教授がテレビに出演され、今回の問題について詳しく説明されました。その中で、「世界各国は賠償制度をつくり、被害者に賠償金が入る仕組みを作っているにも関わらず、日本の法整備は遅れている」と言われ、「この問題を表現の自由と言うところに留めていてはいけない。出版の是か非かはもちろん大事ですが、それ以上に現実に被害者が立ち直るためにどういう制度をつくるかと言う方に議論を持って行きたいと思います」と述べられました。
私も、内閣府、警察、自治体、民間の支援団体等の講演や、個別に国の機関の方々に話をさせていただく機会には必ず、「更生しない加害者、或いは医療的措置が必要な加害者を、刑期が終わると何の配慮もなく社会に放り出してしまう我が国の現在の仕組では、被害者に損害賠償もされず、また、再犯の可能性も高い最悪な状態となっている。加害者が更生しないまま、社会に放たれてしまう今のこの国の制度は、余りにも無責任である」ことを訴えています。
諸澤先生のお話の通り、この手記の出版を、せめても被害者が立ち直るための制度の構築に繋げていかなければ被害者遺族はやりきれません。