この「国際被害者学シンポジウム」は世界被害者会の主催で、世界から54の国と地域が参加しました。日本での開催は27年ぶりです。
午前中は常磐大学で「被害者参加プログラム」と言う市民フォーラムが行われました。
第1部は「知っていますか?刑事裁判へのかかわり方」
裁判員制度よりも早く始まった被害者参加制度を経験した被害者の声、参加制度が出来る前の被害者の声、両者の声を聞きました。どのように裁判の様子が変わったのかが具体的に知ることが出来ました。
第2部は「さまざまな被害者の声」
無謀な運転の交通事故で1人息子を無くされた鈴木共子さん、元デートDV被害者中島幸子さん(恋人からの暴力被害)、中学生暴行死の遺族、尾崎后生氏の講演がありました。
皆さん極限のつらい思いを経験された後で、他の多くの被害者たちの力になろうと立派な活動をされています。同じ被害者として本当に頭の下がる思いです。
中野区の犯罪被害者等支援窓口の担当職員も勉強に訪れていました。休日にもかかわらず、水戸まで勉強に出かける、中野区の現場の職員は本当に頑張っているのだと思いました。
午後からは「第13回国際被害者学シンポジウム」の開会式、ウェルカムレセプションがありました。
このシンポジウムはドイツで1979年に始まった「世界被害者学会の第30周記念」にあたるものです。3年に1度、世界中の被害者学、被害者支援などの分野の専門家が集まる会合です。
この記念の式典に、タイ王国のプリンセスHRH Princess Bajrakitiyabha Mahidolも出席されていました。
日本からは、内閣府特命担当大臣、法務大臣、日本弁護士連合会長、茨城県副知事、水戸市長、それぞれの代理が来賓として挨拶をされました。
私が属する「あすの会」の岡村代表も、タイの王女様の後に特別講演をされました。全世界の被害者学を学ぶ学者、弁護士、政治や法律関係者、そして多くの被害者に向かい岡村代表が語られた講演は素晴らしく、最後の結びの言葉は感動でした。
「(以前は)裁判では被害者は蚊帳の外に置かれ、ただ我慢し見ている他ありませんでした。日本では、加害者の人権だけが守られてきました。他の国よりの何十年も遅れていた被害者の権利を取り戻す戦いを、被害者当事者が起こし、先進国が20年かけて作ってきた制度を、わずか10年で作りました。まさに犯罪の被害者たちは悲しみの中で、世の中のおかしさを訴え、突っ走ってきたのです。こんな(異常な)事は、私たちの国が最初で最後にしていただきたい。」
本当にその通りです。国には、政治があり、学会、審議会、様々な立法に携われる機関があるのです。それなのに、悲しみと苦しみのどん底にある被害者自らが、署名運動や国家への陳情活動をしなくてはならない、こんな国は日本だけだと心から思いました。どうすることもできない慟哭の中から被害者自身が一つ一つ積み上げて来た思いが、ようやく認められ、「犯罪被害者等基本法」や「被害者参加制度」へと繋がって来たのです。
日本の被害者の現状を世界に発信できるよい機会になったと思います。
「第13回国際被害者学シンポジウム」は、「被害者学と人間の安全」をテーマに金曜日まで茨城県の常磐大学で開かれています。



Bajrakitiyabha 殿下王女は、法律の博士号で、タイで検事として働いています。
彼女は、女性、子どもの権利、利益のための活動をしています。
また、国連に代わって働いている親善大使でもあります。