区民委員会地方視察
滋賀県長浜市黒壁スクエア
滋賀県長浜市(人口84,000人)は、20年前、郊外に大型店が進出した影響で、昔からの商店街にはほとんど人の姿を見かけない状態になってしまいました。寂れていく街を救うべく、民間企業・NPO・第3セクター・協議会など様々な街を愛する人たちが集まり「まちづくり役場」と言うNPOを中心に、街を再生しました。現在は1年に200万人が訪れる観光の街となっています。長浜城再建、博物館を建築、明治時代の「黒壁銀行」の建物を保存し、黒壁ガラス館としてオープンするなど、おしゃれで素敵な街が作られていました。雨の平日でしたが、かなりの数の観光客が訪れていました。まちづくり役場の方にお話を伺いました。
私が最も興味を持ったのは、プラチナプラザと言う高齢者が経営するお店です。自分たちで5万円を負担し、リサイクル工房・おかず工房・野菜工房・井戸端道場などを経営しています。観光地と普通の日常生活が一つの街に一緒に存在するつくりになっています。若者から高齢者まで、様々な世代が街の主役となっています。民間企業も、個人も出資して、自分たちの街を作った成功例です。
中野区とは、人口規模も観光都市と言う位置づけも違いますが、普通なら大多数が家庭に引きこもって過ごしている高齢の方が、自分たちの食べるおかずを自分たちで作り販売している姿は、これからの高齢化社会の商店街のヒントになると思いました。それは、安全で簡単な手料理を、周囲の欲しい人が食べる分だけ、作り売っていた商店の始まりのような感じです。助け合いながら自分の出来る事をやっていく、そんな当たり前のようで現代人が忘れてきた精神が街の活性化に繋がっているように思いました。
黒壁スクエア
明治33年に建てられた銀行の建物を活用した黒壁のガラス館
を出発点にガラスアートのショップや工房・飲食店が立ち並びます
プラチナプラザ
空き店舗を利用した中高齢者のワークショップ
おかず工房」「野菜工房」「リサイクル工房」「井戸端道場」の4つがあります。
「井戸端道場」は高齢者が買い物のついでにおしゃべりを楽しめる喫茶室になっていました。
岐阜県羽島市
岐阜県羽島市は(人口69,027人、面積53.64平方km)愛知県一宮市とともに繊維の1大産地として知られています。この羽島市でも、行財政改革を推進し、行政組織のスリム化を計ってきました。その1つとして、既存の出張所を見直し、コミュニティセンター化を図りました。
現在、地域センターを(仮称)区民活動センターへ移行することを考えている中野区にとって、先行事例となる取り組みです。羽島市役所で職員から話を伺いました。
羽島市では平成9年から出張所の見直しを始め、現在に至るまでに、時間をかけてコミュニティセンター化(いままで別々にあった出張所、公民館、集会場など施設を1つの施設にまとめて行くこと)を図ってきました。財政の負担を少なくするために、職員を減らさなければならないこと、しかし、サービスの低下は避けること、退職後の職員を有効につかうこと、などの重要な点を丁寧に市民に説明して、理解を求めながら、移行してきています。行政から指定管理者制度に移行し、少なくなる窓口業務を消防署内に置くなど、住民に不便が生じないように行政が知恵を絞っての行政のスリム化です。今後、運営を市民に委ねていきたいと考えているそうですが、10年以上をかけた出張所のコミニュテイ化はまだ道半であるそうです。
中野区が今後、地域センターを(仮称)区民活動センターに移行していく目標とする考え方は同じでしたので、大変参考になりました。
しかし中野区の「これからは、住民たちの自治に基づき、自らが運営する活動センターを作ろう」と区民にとっては寝耳に水の構想を打ち出し、いきなり区民にその運営を丸投げ、しかも町会・自治会を中心にして行うやり方とは、丁寧さ、そこを利用する住民の目線からの発想、内容は大分違っていました。
最初にご挨拶いただいた羽島市議会議長は80歳でした。他の議員の年齢も高く、仕事を定年してから、議員になる方が多いそうです。50代前の議員は1人もいませんでした。71歳から80歳までの議員が5人もいました。東京では考えられない高年齢の議員構成ですが、80歳の議長を中心に、この行政改革においては、大変温かみのある政策が取られているように感じました。
葛飾区議会選、出陣式
岐阜での視察を終えて、東京に戻り、11月8日投票の葛飾区議会の立候補者の出陣式に駆けつけました。私が応援している方は、無所属で、長年、行政の無駄遣いと戦ってきました。東京都知事の交際費の無駄遣いを裁判で争い、無党派市民運動を展開してきました。羽島市と違い、大都市では議員が高齢である事がマイナスの要因と見なされがちですが、70代後半の彼の出陣式には、事務所に入りきれないほどの方が応援に駆けつけていました。実績を考えれば当然のことですが、とても嬉しくなりました。