江東区には住民が管理している集会場が36か所あります。この亀戸東集会所もその1つです。それらすべての集会所が、区から一切の補助を受けない区民の自主管理制をとっているそうです。集会所の管理者は町会の役員です。鍵の受け渡しも住民同士で行います。区民が集会所を利用する際は、光熱費等の実費使用料の管理をする人に直接払います。個人のお宅に予約表があり、そこで予約し、お金を払い、鍵を貰うそうです。
江東区の職員、集会室の管理をしている町会長および庶務の方から話を伺いました。
個人の方にかなり負担がある仕組みに思えましたが、「私たちが使うことも多いし、皆さんに喜ばれているから。」と笑顔で答えてくださいました。奥の部屋からはカラオケを楽しむ声が聞こえてきました。
この集会所は大規模なマンションの中にありました。マンションの中に、高齢者施設と学童クラブ、保育園も併設されています。江東区では大規模なマンションを建てる時にマンション業者に公共の施設も作ることを義務付けています。区民の葬儀の際にもこの集会所は使われます。
今回の視察を、私は中野区の「(仮称)区民活動センター」への移行の参考にしたいと思いましたが、中野区とは考え方が出発点から異なっていました。
行政組織を小さくする「小さな政府」の考え方、より有効的な財政運営を目指したいと言うのは、すべての自治体が目指す所ですが、江東区では、大規模マンションを建てる業者、葬儀や集会所などを使う区民、それぞれの立場の人たちが、必要なモノを行政に求め、その代わりに公共に協力をする仕組みが成り立っているように思いました。
江東区では、住民票などの行政手続きを行う「出張所」は別に8か所あり、その業務は区の直営で行われています。行政、民間、区民それぞれにとって、自分たちのやるべきことが明確になっていました。
中野区では現在、証明書の発行などの行政の事務、集会室の管理、地域活動の3つの分野の仕事を地域センターですべて区の職員が行っています。その手厚いサービスを、一気に区民の自治のみで行う「(仮称)区民活動センター」へ移行することができるのでしょうか。今回の江東区の集会所管理の仕組みを視察してみて、私は改めて疑問に思いました。
併設されている。保育園と学童クラブ