福祉推進分野権利擁護推進担当による研修に参加しました。保健福祉部の職員や他の窓口担当職員、その他希望される職員が対象の研修です。
性被害に合われた経験を持つ小林さんを講師にお招きして講演を聞きました。彼女は、性犯罪事件に巻き込まれて傷ついた経験、親にも理解してもらえない悲しい体験など、今まで話すことができなかった性被害の体験内容を講演してくださいました。彼女は、そのつらい経験を踏まえ、犯罪被害者自助ブループ運営に関わるなど、性暴力の被害者支援活動を行っています。
彼女のところには毎日100通もの性被害者からのメールが届くそうです。性被害を受け、悲しく、絶望する中、どこにも誰にも相談できない人が多い現実を改めて知りました。中野区の犯罪被害者支援窓口でもDV被害の相談が最も多いと聞いていましたので、職員たちにとっては、被害者の応対について大変参考になる講演であったと思います。
話の中で、小林さんは、「強姦に襲われた体験を多くの人に公表し、本を出し、講演をすることは、もちろん恥ずかしく、つらい。しかし、自分は何も悪いことをしていないし、そのことを理解してくれる中野区の職員の方や、支援者のみなさんがいるから、そのつらさを乗り越えられる」と言う主旨のことを話されました。私は、他の自治体に住まわれる性犯罪の被害者が、中野区の施策を認めてくれていることを知り、中野区に犯罪被害者の窓口ができて本当によかったと思いました。
彼女は、「自分に送られて来る性犯罪の被害者からのメールが多すぎて、その1つ1つに対応するのは大変であるけれど、それでも受け止めなくてはならない。誰か他にもう少し受け止めてあげる人の存在が必要」と話されました。これは、まさに今、中野区の犯罪被害者の窓口が行っている仕事です。被害者支援の担当職員は中野区の現状を話しながら、小林さんの壮絶な体験と、自分が今この仕事に取り組み、支援が必要であることを話しながら、泣いていました。助けを求めている人が大勢いることを仲間の職員に知ってもらいたい、もっとこの厳しい現状に敏感になってもらいたいという思いなのでしょう。
質問の時間、警察の方が「警察も何もしていないわけではない」と言う発言をされたので、発言するのをためらいましたが、被害者を支援するのは警察の仕事と言うよりは、すべての分野(介護、教育、保育、住宅、各種手続き・・)を持つ自治体の仕事の部分が多い事を話しました。
この講演を聞いた中野区の職員たちが、自分たちの自治体が被害者たちにとって大変評価されていること、被害にあってしまった人たちの大きな支えになっていることを理解し、自分たちのできる仕事につないでいただきたいと思いました。