私の母は2年前に大腿骨を骨折し、その後入退院を繰り返しています。主人が拉致されてしまったショックから、この冬も具合が悪くなり入院していました。春になり家に帰っては来ましたが、ようやく母が戻っていた家は、やさしかった主人のいない、暗いつらい家でした。
私は、歩行が困難で、出かけることがままならない母を、彼女が大好きな美術展に連れて行ってあげたいと考えていました。歩行が困難になる前の母は、あちらの美術展、こちらの美術展、音楽会と出歩く事を一番の楽しみにしていたのです。
知り合いに頼んで、父と私と3人で母を連れて「ゴッホ展」に行きました。国立近代美術館は入り口から200人ぐらいが並ぶ盛況ぶりで、中に入っても車椅子に座っている母には、絵画は見えず、人のお尻を見るだけです。
「こんな混んでいる日に来てごめんなさいね」と何度も何度も母は言いながらやっとのスペースを開けてもらいゴッホの作品を鑑賞しました。
体の不自由な人は肩身が狭いものです。幅をとる車いすで列に入ろうとすると、いやな顔をされてしまう、並んでいる元気な人に謝り、同伴者に気を使い、大変です。
それでも、母は涙を流さんばかりに久しぶりの芸術鑑賞を喜んでいました。
足の悪い高齢者が芸術を楽しむには、行き帰りのタクシー代など大変高い物に付きます。また、ようやく会場についても、実際に芸術を楽しむには、大変な思いをしなければならない。日本は今後急速に高齢社会に入ることが解っていながら、それを受け入れる準備はほとんど何もされていません。もう少し、弱者にやさしい社会になれないものかとつくづく思います。

5月17日
PTA教養委員の区の説明会に出席
会派打ち合わせ
夕方 子どもの歯医者