今回は、主犯の酒井への質問です。
前回法廷に入れない人が出たため、朝8時40分から傍聴券を配ることになっていました。私が9時少し過ぎに裁判所に着いた時は、もう20人以上の方が並んでいました。遠方からわざわざ来ていただいた方もいます。感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。
酒井は、口では「申し訳ないことをした」と小声でもそもそ言っていましたが、反省の態度は全く示さず、終始言い逃れをしていました。今でも、近藤浩を殺して本当によかった、やっと気が晴れたというような態度でした。
酒井は、何から何まですべて、「ヒトのせい」で、自分は悪くないと言い張りました。
●この殺人事件の引き金になった双日の商権を巡る民事裁判、KETO社の商権争いも、元はと言えばKETO社の社長が酒井とニチメン両方に販売をし、二股をかけていたことが悪い。
●商権を持ち逃げして設立した自分の会社は、たいして儲からなかったが、ニチメンに林業を続ける事はとても無理なので、自分は客のため、日本の林業や環境のために働く事をライフワークにした。
●近藤浩を憎んでいたが、殺すつもりはなく、(坂本らにスーツケースに入れて)連れて来てもらい、話合いをしたかった。
●坂本と高橋は「酒井は(被害者を)殺して山に連れて行くつもりだった」と理解したのは、彼らが勝手にそうとったもので、自分は殺すことなど言っていない。
●自分が近藤浩に恨まれ殺されるのではないかと恐怖心を抱いた。
酒井の命令に逆らえず、近藤浩を殺す実行犯となった坂本亮は、証言台の酒井のすぐ脇に座らされていました。酒井が証言で「(坂本たちが勝手に)自分に殺意があると受け取ったようだ」という内容の発言をした時には、本当にびっくりした表情でした。
裁判の最初に自分への罪状認否を認めたにも関わらず、最後まで「殺そうとは思わなかった」と言い張る酒井に対し、坂本の弁護士も、検事も、裁判官も腹を立てていました。
主人のように、自分の利益ではなく、社会のために熱心に働こうとする人間に、酒井は、これまで出会った事はなかったのでしょう。近藤浩も自分と同じ「自分のことだけ大事にする」「自分さえよければすべてよし」「自分の意志を阻む者はどんな手を使っても排除したい」性格だと思い、もし、自分が近藤の立場だったら、相手(酒井)を激しく憎むに違いない、と考えたようです。近藤浩を「痴漢」に仕立て上げ、社会的に抹殺しようとした件に関して聞かれた酒井は、「ふっつ」と笑いさえこぼし、「(痴漢犯に仕立て上げること)はそんなたいした罪ではない」と言いました。
こんなどうしょうもない男が、社会の中でエリートとして働いていたとは、本当に情けないと思います。会社の仕事、運命の巡り合わせとは言え、そんな「上司」の下で、「上司」の不正に翻弄され、正義を目指した裁判の仕事に奔走したがゆえに、恨まれて殺されてしまった主人の無念は、どうしたら晴らすことができるのでしょう。こんなひどい人間が、議員秘書を使い、官庁を使い、いい加減にずるずる延ばしていた民事裁判を放置してきた双日㈱の責任はどこまでも重くないでしょうか。
さほど恩義があると思えない親戚の「おじさん」酒井のために殺人を犯す道を選んだ坂本亮、大学まで出ながら、あえて坂本と共に殺人罪を背負って生きていくことを選んだ高橋祐介、酒井は始めから「自分は家にいた」というアリバイを作り、この若者たちに「何の接点ももたない」近藤浩を抹殺させ、自分だけ逃げようとしていたことがよくわかりました。坂本、高橋、は主人をその手で殺した殺人犯ですが、彼らとその家族は、このような言い逃れをする酒井に対して、真剣に怒りをぶつけていいような気がします。
酒井には家族などの情状の弁論もありませんでした。これは、普通では珍しいことだそうです。酒井の奥さんも、酒井の実弟も、金で3人の弁護士に丸投げしたまま、裁判にも顔を出さず、これまで通りの生活を送っているのだと考えたら、被害者だけではなく、他の家族は悔しくないでしょうか。