2010年、信号無視で横断歩道に突っ込んできた自転車による交通事故で母親を亡くされた東光宏氏の講演がありました。尊い命が奪われたのにもかかわらず、加害者は罪には問われませんでした。加害者からは謝罪もなかったそうです。仲の良かったご夫婦、残された父親はうつ病から認知症になってしまったそうです。
このあまりにもつらい被害者と遺族の体験は、社会から見捨てられている「被害者」の存在を改めて感じる話でした。加害者の賠償責任ばかりが自転車死傷事故の焦点になっている現在、東氏の講演は、命の尊厳を社会が見つめなおすための問題提起でもありました。