私は近年、高齢者の万引き、暴行事件などが気になっていました。日ごろは被害者支援に力を入れていますが、加害者の立場からも犯罪を考えていくことも犯罪を無くすためには重要であると考えていました。このような理由から犯罪学の大家であり、更生保護学会の会長も務めている藤本先生のお話を、区民と共に伺いたいと思っていました。
講演内容を紹介します。
高齢者の検挙人員は平成7年から平成26年を比較すると4倍にも増えている。一般刑法犯検挙人は各年齢層で減っている、または、横ばいであるにも拘わらず、高齢者の犯罪だけは増えている。
高齢女性の犯罪の9割が窃盗で、8割は万引きである。高齢者の万引きは平成25年を境に少年の万引きを上回っている。万引きを思い立った高齢者は、定員の数が少ないお店を狙う。また、万引きをあきらめた理由としては、定員から声を掛けられたと言う理由が87%で、圧倒的に多い。防犯カメラがあることで万引きをあきらめた高齢者は0%である。
このような犯罪の話ですが、藤本先生はユーモアを交えながらテンポよく話されるので、参加者は時に爆笑しながらも真剣な表情で藤本先生の話を聞いていました。
先生のお話の中には、1人暮らしの寂しい高齢者の問題、年金の問題、認知症などの病気の問題、日本人の規範意識の低下の問題など、現在の社会問題が山積していました。高齢者に皆で声を掛けあい地域で助け合う社会の形成の必要性、これはまさに今、中野区がそこに向けて取り組んでいるところです。
土曜日の夜、おまけに日本シリーズとも重なり、また、私は、議会、視察等と続き、積極的に皆様に声を掛けこともできなかったため、参加者が30名ほどと少なかったことは大変残念でした。
しかし、参加された方の多くは、「藤本先生のお話を聞けてよかった」「良い企画をしてくださって、ありがとうございました」と喜んでくださいました。


藤本哲也先生

会の終わりの挨拶をする近藤さえ子