平成30年度 中野区 犯罪被害者週間行事が行われました。
今回は、世田谷一家殺人事件被害者ご遺族の入江杏氏を講師にお招きして講演会がありました。
2000年12月31日、入江氏の隣に住む妹さん家族4人は、何者かに殺されてしまいました。事件は18年経過した今も未解決です。入江氏は、その想像を絶する悲しみと向き合いながら生きてきました。上智大学グリーフケ(身近な人と死別して悲嘆に暮れる人が、その悲しみから立ち直れるようそばにいて支援する、悲嘆ケア)、研究所の非常勤講師、妹さん家族の命の輝きを伝えるミシュカの森主宰など、グリーフケアの専門家として活動して来られました。
絶望のどん底を経験された入江氏が亡き人たちと出会い直しをして生きてきた姿、その経験から多くの人の悲しみを癒すことに尽力されてきた姿に、私は本当に心打たれました。特に「被害者遺族は沈没の内海から這い上がっていき、支援者、他の人たちは外海にいて、この2つが出会うまでにはたくさんの時間がかかり、容易ではない」と言う宮地尚子氏の著書「環状島=トラウマの地政学」を引用の話は、犯罪被害者遺族である私の心に大きく響きました。
講演の中で入江氏は、「中野区は犯罪被害者支援の先進区ですので、私が申し上げることはないと思いますが、」と言われながら被害者支援の話をされました。グリーフケアの専門家であり、全国的に活動されている入江氏から見ても、中野区は被害者支援の先進区である認識は、被害者支援に取り組んできた私としては嬉しい限りです。
グリーフケアとは
グリーフ(Grief) 悲嘆・苦悩 ケア(Care) 世話・看護
家族等親しい人との死別の経験をした悲嘆に暮れる人に寄り添い、深い悲しみや喪失感からの立ち直りを手助けする、大切なケア。