刑事裁判判決
主人近藤浩を殺し「逮捕監禁殺人死体遺棄罪」で起訴されている主犯酒井裕、実行犯坂本亮、高橋祐介の求刑の日です。
求刑
酒井裕(57歳) 懲役17年 (求刑18年)
坂本亮(29歳) 懲役13年 (求刑16年)
高橋祐介(25歳) 懲役10年 (求刑12年)
求刑の内容は次のようでした。
この判事は、判事第一逮捕監禁、判事第二殺人の併合罪とする。
この殺人は、確実に用意周到な準備をした計画的な犯行であり、被害者に殴る、蹴るの暴行を加えた集団による犯罪である。拉致した被害者をタオルや粘着テープで何重にも巻き付け、自由を奪い、被害者は4時間以上も悶え苦しみ、絶望のうちに殺害されたものである。さらにその遺体を山中に埋め、誠に悪質であり、その結果は重い。被害者は、会社の業務を忠実に遂行していたもので、全く落ち度はなかった。40歳の働き盛り、林業の発展に情熱を注いでいたところ、仕事の成果も、子どもの成長も見られず殺され、その無念の情は計り知れない。被害者の遺族は、犯人に対する憎しみの気持ちをどのように扱ってよいかわからず、その怒りの気持ちは峻烈である。
この犯罪は酒井なくしてはありえず、自分の仕事を邪魔していると考えた近藤の失脚を画策し、殺人に至った、独善、自己中心的である。自分の手は出さず、全て坂本に一任し、裁判の最中も、理不尽な弁護に終始し、酌量の予知はない。
坂本は、実行グループの統率者として重要な立場であった。サルグツワと粘着テープで巻かれて身動きできない被害者を、さらに布団で巻くように指示した。
高橋は、坂本からこの計画を聞いて、報酬を得るために加わることを選んだ。殺害計画を知ったにもかかわらず、被害者を尾行し、拉致した自動車内で積極的に暴行を加えた。
その後で、3人には「前科、残歴はない」として、酒井は双日株と近藤代理人の共同管理の口座に金を払っている、奥さんが待っていると言う話である、坂本は、酒井に言われ躊躇を示しながら従属的に行動したのであり、親が被害者に慰謝料を払い、両親が出廷している、高橋は坂本の命令に従属的であり、親が出廷している、との情状の説明がありました。酒井の金は、本来、主人が担当していた民事裁判で、会社(双日株)に支払われるべきものであり(当初の和解金にも満たない額ですが)、「慰謝料として払った」と言える筋合いのものではないはずです。酒井の奥さんも、弁護士が「待っている」と言っただけで、一度も法廷には顔を出しません。
裁判では「悪い部分」と「良い部分」は必ずセットにするそうです。
裁判長は最後に3人を前に呼んで、まるで小学生の子どもを諭すような優しい声で、「真面目にお勤め?すればこれより短い刑で出られますのでがんばってください。」と言う主旨のことを言われました。これには、本当に驚きました。もちろん、形式であり、裁判はある部分では犯罪者を更正させることを目的として存在することも理解はしますが、これが日本の現状なのです。
自分可愛さから、仕事上で邪魔な人間を排除しようと画策し、自分の手は汚さず、自分にだけはアリバイを作り、かつての部下を平気で殺し、普通に生きていた5人の若者の人生を狂わせた酒井、その罰が、たった17年の懲役であるということには、どうしても納得がいかない思いです。
傍聴に来たくれた方から帰宅後たくさんのメールを頂きました。「裁判長があんな子どもを諭すみたいに優しく言うなんて・・・」「坂本の親が笑っていたのが不愉快」など、ほとんどが、あまりにも軽すぎる被害者の命の重さに絶望したメールでした。
この「殺人罪」の裁判は、傍聴券を手に入れなくては傍聴できない裁判でした。寒い寒い地裁の玄関前で、傍聴券を手に入れるために多くの方が並んでくださいました。
早くに来て昼食のおにぎりを食べながら並んでくださった方、
自分の前で傍聴券が終わってしまい入れなかった方、
わざわざ来られたのに残念ながら入ることができなかったと後でメールをくださった方、
地方から裁判の度に交通費をかけて来て下さった方、
いつでも何でも助けてくれた子どもの同級生のママたち
元教師、大学教授等教育関係者の皆さん
本当にありがとうございました。