求刑
沢田将基 まさき(30歳) 懲役6年 (求刑9年)
緒方 剛 たける(23歳) 懲役6年 (求刑7年)
齋藤揚礼 あきのり(23歳) 懲役6年 (求刑7年)
求刑の内容は次のようでした。
被告は酒井、坂本、高橋と共謀の上、被害者近藤の身体を掴み、手拳で殴打し、車に連れ込み、命乞いする被害者の声を無視し、サルグツワをし、粘着テープで巻き、布団袋に包んだ上から、布団で巻き、終始監禁し、身体拘束を与えて死亡させた。沢田は坂本から一人10万円の報酬がでると聞かされ、仲間を集めた。友人の依頼とは言え高額の報酬に引かれ、役割を分担し、計画的な犯行に及び、殴る蹴るの暴行を加え、被害者の行動を十分に制圧しながら、幾重にも緊迫したもので、殺人の実行行為と供し得る。
被害者は、加害者にむしろ被害に合わされ、業務を忠実に遂行していたもので、全く落ち度はない。帰宅直前で、暴行を受け車に連れ込まれ、子どもの成長も見ることができずに、苦痛と恐怖の中でこの世を去る事になった。幸福に満ちた家族が、憎しみと怒りの感情を持つ事になった、被害者の妻は、強い処罰感情を訴えている。
そして、最後にやはり、裁判長は3人を呼んで「真面目に努めればこれより短い時間で仮出所することもあります。自分たちの行為を反省し、自分たちの罪の重大さを認識し、自分を見つめ直すようにしてください」と優しく諭しました。
私は、最後にどうしても言いたかった言葉を叫んでしまいました。「齋藤、あんたは1回も謝ってないじゃないの」
被害者遺族の意見陳述のさなかも表情を変えもしない姿。最後に「言いたい事は?」と裁判長に聞かれ「これまで迷惑をかけたみなさんに謝ります」というその態度。その「みなさん」は自分の身内であり、仲間であり、決して自分が殺してしまった被害者ではない。親も子も自分の保身、自分の自己満足しか考えない人間たち、この人間が「規則を守り、立派に勤めました」」と言われて短い刑期で社会に出て来てしまうことが、私には本当に恐いのです。
沢田、緒方、齋藤、この3人のうちの、たった一人でも「そんなことはボクはできない」と言って断ってくれていれば・・・主人は死なずに済んだのです。見知らぬ人間に暴行を加え、ぐるぐる巻きにして、「このままでは死んでしまう」と認識しながら放置して10万円を貰って帰り、遊興費に使い、捕まるまで何食わぬ顔で遊んで過ごしていた若者たち。
彼らが数年で社会に出て来て、「真面目に仕事します」という保証はどこにあるのでしょうか。
あまりにも短い刑期だと思えますが、「致死罪」の中では、これでも重いそうです。
これで、主人の殺人事件に対する刑事裁判は全て終わりました。
長い間、傍聴に駆けつけ、連絡を入れてくださり、励ましてくださいました皆様、本当にありがとうございました。
ただ、遺族の気持ちとしては、こうして一つの事が終わるごとに「本当に主人は帰らない」と再認識する作業の繰り返しです。決して救われることはありません。
どうぞ、これからも、変わらぬご交情をよろしくお願いいたします。
帰宅したら、フィンランドからクリスマスカードが届いていました。酒井が商権を勝手に持ち逃げし、それに対し双日株が裁判を起こし、主人が事務担当となり、そのために殺されてしまった林業機械ハーベスタの会社「ケト社」の社長夫妻からのカードとCDでした。複雑な気持ちです。