夫近藤浩を殺害した主犯であり、彼の元上司であった酒井裕(57歳)は、昨年末の地裁の「懲役17年」の判決を不服として、高裁に控訴していました。
今日、東京高等裁判所で酒井裕に判決がでました。
上告は却下されました。
判決文の読み上げは10分程度の短いものでしたが、とても重たい内容だと思いました。高裁の仙波裁判長は、酒井の粉飾決算、ケト社商権横領、双日株式会社との民事裁判、裁判の担当者であった被害者排除を理由に殺害した事件の流れを述べられ、「自宅から遠い山中に死体を遺棄した」ことは重大であり、若者を使って「暴力団まがいの計画を立てた」「自己中心的」「首謀者であり」、さらに「民事訴訟を否定する」ものである、という内容を読み上げられました。
酒井は控訴したことによって、拘留期間が70日延びました。彼が最高裁に控訴しない限り、酒井の懲役17年の刑は確定します。
ひたすら自己保身のために、自分は手を汚さずに、5人もの若者を使い、自分に邪魔になった人間を殺し、死体を捨て、それでも自分1人だけ罪が重すぎると主張していた酒井の言い分は、拒否されたのです。誰が考えても当然のことと思われます。しかし、「控訴する」といことは、殺人を犯したことに対して、やったことは認めるが、「悪いことをした」と思う気持ちは微塵もない、ということです。酒井は、これまでも、そうして自己中心的に生きてきて、おそらく、これからも、「殺人が悪いことである」という意識を持つことのない人間なのだろうと思われます。殺してしまった元の部下、残された遺族、迷惑を掛けた仕事仲間、たった10万円のアルバイトで殺人を請け負った5人の若者たち、その家族のこと、などは全く念頭になく、他人はどうでもいいのです。
そもそも酒井は、双日商権裁判で、自分の立場が悪くなり、金を払えないという理由で、その双日側担当であった主人を排除すべく殺人を犯したのです。今回の控訴では、酒井はまた、新しい弁護士をつけていました。「払える金があるではないか」「いったいこの控訴で何がしたかったのか」傍聴に来た方は不思議に思われたようです。
傍聴には新聞記者の方もいらっしゃいました。忙しい中、傍聴に来てくださった皆さん、ありがとうございました。この事件のことを、多くの人が注目し続けてくださることに大変感謝しています。再来週には民事裁判も始まります。こちらにもご注目ください。
帰宅後、友人から頂いたメールには、「自分のことばかりではなく、人のことを皆が考えれば、平和な社会が来るのに・・・と思います」とありました。大切な主人の命を奪い、ゴミでも捨てるように山中に遺棄し、5人の若者の人生を狂わせ、自分だけが次々と弁護士を雇って、なんとか罪を軽くしようとする酒井裕本人と、早々と酒井の父親名義の家、主人が殺された現場でもある家を売り払って自分たちの財産にしてしまった酒井の家族に、この言葉を理解する日はくるのでしょうか。