杉並区立和田中学校「よのなか科」を見学しました。
民間企業から校長先生になった藤原和博先生のことは、新聞、テレビなどでも度々紹介されています。実際、和田中学校に行って授業を拝見すると、本当に、楽しい、意義深い授業でした。自分の子どもも是非受けさせたいと思う授業でした。
テーマは「少子化問題について考える」と「結婚と離婚について考える」でした。中学3年生78人と25人ぐらいの大人が一緒になってこのテーマを考えました。大人たちは自分も考えはしますが、子どもに意見はできません。全て子どもたちだけの考えで授業は進みます。
結婚のメリットは何か?結婚相手に望むことは?などと書かれたレジメに沿って考え、箇条書きにした考えをグループでまとめ、発表しました。
結婚の良い点は・・負け犬になりたくないから
人間と話せるから・・など
大変面白くも、意味深い発言が飛び交いました。

私がこの授業を見学して1番感動した事は、子どもたちが興味のあることを、生き生きと学んでいたことです。土曜日にボランティアで勉強を教ている学生、藤原先生の授業を見学にきた他方の教育委員会の人、地域の人たち、その他子どもたちを支えたい多くの人たちに囲まれて、子どもたちは楽しくて仕方がないと言う笑顔の中で授業が進んでいたことに感動しました。正に学校は楽しい場所なのです。ゲストで話をしてくださったのは、藤原先生と同じ会社にいた後輩で、離婚歴のある方でした。生徒に向かって藤原先生は「どんなことでも質問していいよ」「失礼なことでもなんでも」と笑っておっしゃっていました。あえて普通の学校では扱わないテーマを課題にして、生徒に現実の問題を考えさせている、とてもいい授業であったと思います。私の周りや藤原先生の情報ですと、現在シングルの親の元、公立中学に通っている子どもたちはとても大勢です。藤原先生は「お前の親権、お父さん、お母さん」と言う子ども同士の会話が廊下で普通になされているのが今の学校です。子どもたちの方が現実と向き合って生きています。教える側がそこに追いついていない。今の現実を生きる子どもたちが学ぶべき事は何なのか?と言う事をとても理解して、「よのなか科」を展開しているのです。


多くの大人の暖かい目に子どもたちが見守られている。
知りたいこと、学びたい事を一緒に考え、教えてくれる大人がいる。
何らかの理由で、子どもがつらい状態であっても、学校にくれば楽しいと思える先生と友達がいる。
いろいろな考え方を持つ人がいることを学校で学べる。
私がこうであって欲しいと願う学校の姿がこの「よのなか科」の授業にはありました。
リーダーの取り組み方、指導力の大きさで、子どもたちの居場所が楽しくなる。藤原先生の実践がそのことを教えてくれました。
藤原先生の所には毎週多くの教育関係者が授業参観に訪れているそうです。その中の1人の先生も自分の学校で「よのなか科」を始められ、明日は裁判についての授業を行うそうです。弁護士さんをお呼びしての授業だそうです。その後の週に被害者側の気持ち「命の大切さ」を取り上げる授業を予定しているそうです。是非、私に話をして欲しいと頼まれました。一方的ではなく、いろいろな角度から、物事を考えられる子どもたちを育てることが、現場の先生たちの地道な努力によってなされています。加害者の人権ばかりが守られている今の法律の下、子どもたちが簡単に加害者にならないように、「命の大切さ」をある学校の「よのなか科」の授業で話すことになりました。