所沢市立安松中学校「よのなか科」参加
杉並区の和田中学校の藤原先生の「よのなか科」は有名ですが、「よのなか科」に取り組んでいる先生は他にもいます。安松中学校の平野先生とは、藤原先生の授業で出会い、その後も「よのなか科」の取り組みについてレポートを送ってくださっています。1年前には私もゲストティーチャーとして招かれました。
平野先生は、「生徒たちに世の中のことをもっと考えてもらいたい」と、さまざまな取組みをされていますが、今日は、本物の裁判官、検事、弁護士を呼んで模擬裁判をしました。
それまでおしゃべりをしていた生徒たちも、検事が冒頭陳述を始めると水を打ったように静かになりました。模擬裁判を授業に取り組む学校は他にもありますが、司法3職を公立の学校に呼んでしまうというのは聞いた事がありません。ただ「よのなか科」をやるだけでなく、やるからには徹底してやる。生徒たちに裁判員制度を真剣に考えてもらいたいと言う先生の思いが強く伝わってきました。また同じ事案について、検事と弁護士という別の角度から考えるディベートの授業としての効果も高いと思いました。
ただ、気になったのは生徒の「判決」です。今回の事例、「何も悪くないおばあさんのバックに入っている現金を盗むために、突き飛ばし、殺してしまった」結果にたいして、「無罪」を求刑した生徒が複数いました。来月はまた私が講師として話をする予定ですので、生徒たちを加害者にさせない「命の教育」をしたいと思っています。
模擬裁判の会場(授業)には、有名私立中学の入試広報委員の先生や杉並の和田中で地域本部を担当しているボランティアの方などが参加されていました。どの方も子どもたちのために良い授業を求めて真剣です。私は以前、中野区議会の質問で、和田中の藤原先生の例を上げ、「よのなか科」やがんばる校長先生や職員を入れるなど、様々な仕掛け作りお願いしたいと教育委員会に提案しましたが、教育長は、周年行事や統廃合に関わることなどに忙しく、教育の内容にはほとんど興味を示してくれませんでした。
先日、朝日新聞の1面に、和田中学校の地域本部が大手進学塾サピックスと提携する取組みが載って、大変驚きました。1人の校長先生の存在で、勉強になかなかついていけない子には、「土曜寺子屋」(土曜日補習)、授業よりもっと進みたい子には、「学校で進学塾」と、子どもの実力や希望に応じて「学校で学ぶ機会を与える」、これが「公立学校」の仕事だとつくづく感心しました。
和田中の藤原先生の取組みは、熱心な教師たちや周囲の大人たちによってどんどん広がっているところです。