「杉並区立和田中PTA廃止へ」
今日新聞の記事を見て驚きました。杉並区の和田中学校のPTAが区中学校PTA連絡協議会から脱退するという記事です。
ちょうど昨日、PTAがこのままのでは、保護者はどんどん学校から離れて行ってしまう、なんとかしなくてはと必死の思いで、私はPTA役員に入ることを決め、引き継ぎをしたばかりのタイミングでしたので、「和田中PTA廃止」のニュースに驚きと喝采の気持ちで接しました。
2年ほど前、私が和田中を訪れた時、藤原校長先生は「子どもたちには育てる『地域』が必要です。だから学校の中に地域を新たに作ったのです。町会はもう事実上機能していませんしね」という主旨の話をされました。
その時点ですでにPTAにおいても町会と同じく「事実上機能していない」ということが起こっていました。子どもの保護者の多くが働いていて、PTAの担い手になれない、なりたくないと思いながら、1年間だけだから我慢して、あまり意味があると思えない活動を引き継ぎやっていく形で、これまで多くの学校ではなんとかPTAが成り立ってきました。
和田中では、PTAと別に、新たな地域組織「地域本部」を独自に作り、そのメンバーを生徒たちの保護者に限らず、一般に広く募集しました。今では生徒の保護者はもちろん、地域の人々、学生達、遠方から来る人たちまで集まり、多くの大人たちが学校と生徒の生活の支援をしています。放課後に図書館を開放し、土曜日の補習「ドテラ」を運営、そして先日全国的に話題になった「夜スペ」学校に進学塾授業を入れる活動もこの「地域本部」が運営しています。
和田中にもこれまでPTAはあり、生徒の登下校の見守り、学校行事の手伝いなどをしてきましたが、PTA活動に参加する保護者を集めることには他の学校と同じく苦労し、一方の地域本部はPTAの仕事もすべてまかなえるほどに育ちました。そこで、「PTA廃止へ」と決断したようです。
文部科学省では、今後、和田中の「地域本部」をモデルに全国の中学校に取り入れて行こうという方針を打ち出していて、今回の和田中のPTA廃止の影響がどのように出るかは気になるところです。
さて、一方の中野区は、今も現実を省みず、「これまで通り」「さらにPTAに仕事をしてもらおう」という時代感覚です。私は、これまで何度も和田中の取組みを例に出し、中野区でも、現実を見据えてもっと公立教育に力を入れるべきだと質問してきました。しかし、中野区は「区民の自治の時代」といいながら、今まで行政が担ってきた仕事を現在ある町会・自治会・PTAにどんどん降ろして「誰かに」やってもらおうという方針のままです。