文教委員会・学習会
高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決」の記述について、早稲田大学文学学術院教授、大日方純夫氏教授を招いて学習会が開かれました。
教授のお話は大変わかりやすく、問題の発端から、教科書の成り立ちと検定制度、沖縄戦の構造と「集団自決」の真相、証言、研究について説明してくださいました。一般の区民も傍聴し、文教委員会以外の議員も一緒に学習しました。
教授の話は、ほとんど私の認識するところと同じ見解でした。これまでの中野区の文教委員が問題にしている「沖縄戦「集団自決」に、軍の関与がなかったかもしれないのに、あったと、どうして言えるのか?」と言うテーマに、様々な文献を例に上げ、丁寧に説明してくださいました。
私もこの部分が1番問題であると思っていたのですが、様々な学説、通説から、軍の関与があったと言われてきているものを、それに答えるだけの説明を伴わないまま、教科書から削除しなければならないのは、納得がいきません。
教育で大切なことは、いろいろな意見があり、子どもはその様々な意見を聞いて、考えながら育つべきだということです。文科省はそれが大事な事であると自らいい続けているのに、「軍の関与があったと言う意見に関してはどうしても削除しなければならない」と言うのは、学問的な違いも受け付けない、おかしな姿勢です。
大人は、たとえそれがどんなに悲惨でも、受け入れたくない事実であっても、様々な見聞や、ありのままの歴史を子どもたちに伝える責任があると、私は思います。
東京書籍の日本史Aの教科書は、日本軍が「自決」を「強いた」と言う表現を「集団自決」に「追い込まれた」と検定後訂正していますが、注として、また、国内でも、2007年の教科書検定の結果、沖縄戦の「集団自決」に日本軍の強制があった記述が消えたことが問題になった。」と記述しています。
自分たちの研究、今までに積み上げてきた証言を元に、真実を伝えることが大切であると考え、戦っている人たちの存在を改めて知る勉強会でした。
最後に、文教委員が質問をしました。
「沖縄県で検定撤回」を求める県民の大会は11万人の人が集まったと言われているが、違う説では、1万人だったとも言うが、どうなのでしょうか」
「さいたまの議会でも軍の関与はなかったと言う議員の発言があったが・・」
大学の教授に質問する意味がほとんどないような質問がありました。
委員会が終わってから、傍聴に来ていた区民からは、「こんな事を大学教授にまじめな顔をして聞いてしまうなんて、中野区の文教委員会って大丈夫かしら」「とにかくはずかしい。」との意見がでました。
結局、中野区議会から、この検定に対して疑問の声を投げかける意見書の提出については、公明党と民主党が保留と言う形で次の委員会まで持ち越すことになりました。自分たちは、全くその必要がないと考えていたとしても、今日の大日方純夫氏の話を聞いて、少し考えてみる時間をとる、と判断をしました。特に公明党は、ほとんどの場合、自民党と同じ判断をしてきているのですが、今日は、区民の思いに、考える時間をとってくれました。傍聴されていた区民は、公明党の誠意をとても評価していました。民主党も中野区議会では、自民・公明党とほとんど同じ考え方をいつも示していますが、反対はせず、保留となりました。