所沢市立所沢中学校 よのなか科授業
よのなか科(世の中を「知る」・「学ぶ」・「考える」)の授業を取り入れている平野先生の授業で、刑事事件の犯罪被害者の立場から講師を務めました。
普段の授業中、生徒たちが落ち着かない事も多々あると先生から伺ったのですが、生徒たちは私の話を静かに聞いてくれました。とても素直で良い生徒たちでした。
生徒たちはこれまでに少年審判・大人の事件などの裁判の仕組みを勉強してきています。前回は弁護士を講師にして話を聞いています。私の話の後、ワークシートに生徒が書いた感想の中には、「裁判員制度で選ばれても、被害者の事も考えられるようにしなくてはならない」と言う主旨の文章もいくつかありました。
模擬裁判を授業で取り入れている学校はかなりあると思いますが、被害者を呼んで裁判の全てを学ばせる学校はほとんどないと思います。子どもたちに裁判と言う制度を考えさせる時、「加害者の人権」は必ず教えますが、「被害者の人権」を教えられる先生はほとんどいないと思います。ものごとを片方からだけではなく、いろいろな面から考えられる生徒を育てている平野先生の授業の方針は素晴らしく、当たり前のことのようですが、他の先生が実行していない部分をきっちり押さえた立派なものだと思います。
その夜、平野先生から、以下のメールを頂きました。
教室の空気が変わったのにお気づきでしたでしょうか?生徒たちの目が真剣になりました。ありがとうございました。
「よのなか科」の授業は彼らが知りたい世の中のことを教えてくれる授業です。生徒たちにとって、学校で習うことはどこか他人事であり、自分と結びつかない事が多いと感じているのではないかと私はしばしば思います。自分に関係のないと思える勉強はおもしろみがなく、授業が退屈な事は仕方がない面もあります。しかし、生徒たちは自分が主役であればその事に集中していくのです。
私は犯罪の被害者を出さないためには、1人1人が犯罪の加害者にならない事、この事が世の中で何よりも大事であると考えています。そのことを少しでも多くの子どもたちに語り、考えを分かち合える授業に参加させていただき感謝しています。今後も命を大事にする教育を続けて行きたいと思います。